実家売却の税金はいくら?売却代金ではなく「利益」から確認する

段ボールとアルバムを前に実家の今後を整理するイメージ 実家の売却
名義や手続きの前に、親御さんの意思と家族の役割を整理します(AI生成イメージ)

実家を3,000万円で売ったからといって、3,000万円全額に税金がかかるわけではありません。

土地や建物を売ったときは、売却価額から取得費と譲渡費用を引き、使える特別控除があればさらに差し引いて、課税対象となる譲渡所得を確認します。最初に集めたいのは、親が家を買ったときの契約書や領収書です。

実家売却の税金で難しいのは、家によって前提が違うことです。自分が住んでいた実家と、相続した親の空き家では確認する特例が違います。取得費が分からない、相続人が複数いる、賃貸に使った時期があるといった場合は、売却前に税務署や税理士へ確認する方が安全です。

この記事では、2026年8月15日に確認した国税庁・国土交通省・小金井市の資料を基に、個別の税額ではなく、売却前に何をどの順番で確認するかを整理します。

最初に確認する式は「売却代金-取得費-譲渡費用-特別控除」

国税庁の案内を基に簡略化すると、確認順は次のようになります。

項目確認する内容
売却価額実家を売った金額
取得費購入代金や購入時の費用など。建物は所有期間中の減価償却相当額を差し引く
譲渡費用仲介手数料など、売るために直接かかった費用
特別控除要件を満たす場合に差し引ける控除
課税譲渡所得売却価額-取得費-譲渡費用-特別控除

税率から先に調べるより、この計算材料がそろうかを見る方が先です。取得費や特例の有無で課税譲渡所得が変わるからです。

詳しい計算方法は、国税庁「土地や建物を売ったとき」で確認できます。

親が買ったときの契約書を先に探す

相続した家では、相続した時点の価格を新しい取得費にするのではありません。国税庁は、相続や贈与で取得した土地・建物の取得費と取得時期について、原則として被相続人や贈与者のものを引き継ぐと案内しています。

そのため、親が家を購入したときの売買契約書、領収書、建築関係書類などを探します。相続税評価額や固定資産税評価額を、そのまま売却時の取得費として扱うわけではありません。

国税庁タックスアンサーNo.3270で、相続した土地・建物の取得費と取得時期の扱いを確認できます。

売却に必要な書類全体は、不動産売却の必要書類を先に集める順番にまとめています。税金の確認では、売却時の書類だけでなく、取得時の資料まで探すのがポイントです。

取得費が分からないときも、すぐに5%で決めない

国税庁は、土地・建物の取得費が分からない場合、売却価額の5%相当額を取得費とする扱いを案内しています。例えば売却価額が3,000万円なら、5%は150万円です。

ただし、これは「契約書が手元にないから、すぐ150万円で計算すればよい」という意味ではありません。取得費が小さくなると、課税譲渡所得が大きくなる可能性があります。親の保管書類、購入時の不動産会社や金融機関の記録など、確認できる資料がないかを先に整理します。

取得費が不明な場合の扱いは、国税庁タックスアンサーNo.3258で確認できます。実際に何を取得費として説明できるかは、資料をそろえて税務署または税理士へ確認してください。

5,500万円で売却し、取得費が275万円になった事例

私が売却を担当した多摩地域の土地で、何代も引き継がれてきたため、取得時の資料を確認できない案件がありました。売却価額は5,500万円。売主は税理士へ相談し、取得費を売却価額の5%に当たる275万円として計算したと聞いています。

私は税額の計算や申告をしていません。ただ、5%の取得費を使うと、売却価額から差し引ける取得費が小さくなり、ほかの譲渡費用や特別控除を考える前の段階でも金額の差が大きくなります。古い土地ほど、契約書がないだけで早々に5%へ決めず、残っている資料を探す意味があります。

この売主は国民健康保険に加入しており、売却後の年度に国保の負担が大きく上がりました。事前に負担増を見込み、売却代金の一部を支払い用に分けていたため困らずに済みましたが、所得税と住民税だけを見ていたら、手元に残るお金を多く見積もっていたと思います。

小金井市の令和8年度の計算方法でも、国保税は前年中の所得、加入者数、加入月数などにより変わると案内されています。土地・建物を売った年に国保へ加入している場合は、譲渡所得が翌年度の国保税へどう影響するかを、住んでいる自治体へ確認してください。計算方法や上限は自治体、年度、世帯、年齢で異なります。

契約書がなくても、振込伝票が残っていた事例

別の案件では、当時約5,500万円で購入した家を、約2,000万円で売却しました。購入時の売買契約書は残っていませんでしたが、購入代金を振り込んだ伝票と、当時その家のために支払った金額の明細書が残っていました。

購入額より売却額が安いように見えても、それだけで税金がかからないとは判断できません。建物の取得費は減価償却相当額を差し引いて計算するためです。この案件では、私は申告要否を決めず、残っていた資料を税務署へ持ち込んでもらいました。

税務署からは、その案件では譲渡益が出ていないため譲渡所得に対する税金は生じず、後から確認を求められた場合には、振込伝票や当時の支払明細も取得費を説明する資料になり得るという趣旨の説明がありました。売主はその回答を踏まえ、譲渡所得の確定申告をしませんでした。

この経験から、私は、売買契約書が見つからなくても、すぐに5%しか選べないとは決めないようにしています。振込伝票、領収書、建築代金の明細、住宅ローン関係書類など、取得時の金額と支払いを説明できる資料を集め、税務署または税理士へ見せます。どの資料が認められるかは個別判断であり、振込伝票だけで必ず取得費を証明できるわけではありません。

国税庁・東京国税局の申告チェックシートでも、取得時・売却時の売買契約書等と、取得費・譲渡費用等の領収証の写しが確認資料として挙げられています。契約書の有無だけで終わらず、取得時に残った資料をまとめることが先です。

国税庁の確定申告案内では、譲渡所得に利益がある場合は原則として確定申告が必要とされています。損失が出た場合でも、マイホームの譲渡損失に関する特例を利用する場合や、ほかの土地・建物の譲渡所得がある場合などは扱いが変わります。国税庁タックスアンサーNo.3203も踏まえ、この一件と同じとは限らないため、該当する制度と申告手続は個別に確かめる必要があります。

「実家」だけでは3,000万円控除を判断できない

実家売却では「3,000万円控除が使えるか」がよく気になります。ただし、同じ実家でも、誰が住んでいたかによって確認する制度が違います。

自分が住んでいた家を売る場合

自分が現在住んでいる家、または以前住んでいた家を売る場合は、一定の要件のもとで居住用財産の3,000万円特別控除を使える可能性があります。

確認先は国税庁タックスアンサーNo.3302です。「実家」という呼び方ではなく、所有者本人がいつまで住んでいたか、売却相手との関係、ほかの特例との組み合わせなど、掲載されている要件を確認します。

相続した親の空き家を売る場合

親が住んでいた家を相続して売る場合は、自分の元自宅の特例とは分けて、被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例を確認します。

この特例にも、相続開始時の状況、建築時期、相続後の利用、売却時期、売却価額、耐震性や取壊しなど複数の要件があります。「親の家を相続した」という事実だけでは適用を決められません。

要件は国税庁タックスアンサーNo.3306と、国土交通省の制度案内で確認できます。

相続後の名義、遺産分割、売却の進め方は、相続した実家を売却する前の確認順も参照してください。

小金井市の確認書は「特例を使える証明」ではない

小金井市は、相続空き家の特例を受ける際に税務署へ提出する「被相続人居住用家屋等確認書」の申請を受け付けています。

ここで注意したいのは、小金井市から確認書が交付されても、それだけで特例の適用が保証されるわけではないことです。小金井市の案内にも、その旨が明記されています。市は確認書の申請先、特例の適用を判断するのは税務署です。

申請書類と窓口は、小金井市「被相続人居住用家屋等確認書について」で確認できます。書類の準備に時間がかかる場合もあるため、売却後まで放置せず、要件と必要書類を早めに確認します。

相続税を納めた場合は取得費加算も確認する

相続や遺贈で取得した財産について相続税を納め、その財産を一定期間内に売却した場合は、相続税額の一部を譲渡資産の取得費へ加算できる可能性があります。

これは、相続した実家なら自動的に加算できる制度ではありません。相続税を納めたか、どの財産を売るか、売却時期が要件内かを分けて確認します。根拠は国税庁タックスアンサーNo.3267です。

相続税の申告書や納付関係の資料がある場合は、売却資料と一緒に税理士へ見せられるようにしておきます。

解体や片付けを決める前に税務条件を確認する

実家を売るとき、先に更地へした方がよいと思うかもしれません。しかし、相続空き家の特例には取壊しや耐震性を含む要件があり、売り方と税務の確認を別々に進めると判断を誤りやすくなります。

税金だけを理由に建物を残す、または解体するとは決められません。建物の状態、買主の見込み、解体費、売却時期、特例の要件を同じ表で確認してから決めます。古家の扱いは、古家付き土地を解体前に売るか判断するポイントで整理しています。

片付け、測量、解体、仲介手数料などの支出順は、実家じまいにかかる費用も参考になります。税務上の譲渡費用に入るかどうかと、実際の売却で必要な支出かどうかは同じではないため、領収書を残して個別に確認してください。

税務署・税理士へ売却前に確認したいケース

次に当てはまる場合は、売却後に数字だけを持ち込むより、契約や解体の前に相談した方が整理しやすくなります。

  • 親が買ったときの契約書や取得費の資料が見つからない
  • 建物の減価償却を含む取得費の計算が分からない
  • 所有者や相続人が複数いる
  • 相続後に賃貸、事業、親族の居住などで使った時期がある
  • 自分の元自宅の特例と相続空き家の特例のどちらを見るか分からない
  • 解体時期や売却時期が特例へ影響しないか確認したい
  • 相続税の取得費加算や、ほかの特例との関係を確認したい
  • 国民健康保険に加入しており、売却翌年度の負担も含めて手残りを確認したい

不動産会社は売却価額、売り方、契約、引渡しの段取りを整理できますが、個別の税額や特例適用の最終判断はできません。税務署や税理士へ渡す資料を早めにそろえることが、売却後の手残りを見誤らないための準備になります。

実家売却の流れを確認するときも、税務確認を最後の確定申告だけに置かず、書類収集と売り方を決める段階へ入れてください。

まとめ|今日やることは親の購入資料を探すこと

実家売却の税金は、売却代金全額ではなく、取得費と譲渡費用などを差し引いた譲渡所得から確認します。

最初の一歩は税率を調べることではありません。親が購入したときの契約書や領収書、相続税の資料、家の利用履歴を一か所に集めることです。そのうえで、自分の元自宅なのか、相続した親の空き家なのかを分けます。

取得費が分からない、相続人が複数いる、解体時期を迷っている場合は、売却前に税務署または税理士へ確認してください。国民健康保険に加入している場合は、翌年度の負担を居住自治体にも確認し、納税・納付に使うお金を売却代金から先に分けておくと安全です。制度の条件は変わるため、申告時には国税庁と小金井市の最新案内を改めて確認する必要があります。

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