築50年の一戸建て価格・売却相場|小金井の取引例で比べる

中古戸建ての模型と整形地の模型を並べた比較イメージ 実家の売却
中古戸建てとして見せるか、土地として見せるかで、届く買主が変わる場合があります(AI生成イメージ)

小金井市本町で2,100万円の家と、7,500万円の家。どちらも取引当時は築50年前後、土地と建物を合わせた価格です。

武蔵小金井駅から8分と9分。駅への近さだけなら似ていますが、土地は60㎡と125㎡、取引時期は2023年と2025年で違います。価格だけ拾っても、自分の実家がいくらで売れるかは見えてきません。

私は、古いという理由だけで建物を0円と決め、解体費を引いて終わりにはしません。実務では、土地として出していた家を中古戸建てとして見せ直し、問い合わせが増えたこともありました。

まずは実家に近い条件の取引例を選ぶ。そのうえで、建物を使う人に売るか、土地を求める人に売るかを比べる。小金井市の4件を使って、その見方を整理します。

小金井市の築50年前後の家は、いくらで取引されているか

比較するときは、価格と一緒に土地・建物の面積、建築年、取引時期を並べます。実家に近い一件を探すつもりで見てください。

下表は国土交通省の不動産情報ライブラリから、取引当時に築50年前後だった小金井市内の木造住宅を4件選んだものです。取引当事者へのアンケートに基づく「不動産取引価格情報」で、売出価格ではありません。

町名・取引時期土地+建物の総額土地/建物面積建築年最寄駅・駅からの時間
梶野町/2023年第1四半期5,100万円140㎡/85㎡1976年東小金井 14分
本町/2023年第2四半期2,100万円60㎡/70㎡1977年武蔵小金井 8分
前原町/2023年第4四半期5,000万円165㎡/130㎡1973年武蔵小金井 11分
本町/2025年第4四半期7,500万円125㎡/120㎡1971年武蔵小金井 9分

出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ「不動産取引価格情報」をもとに当サイトで抽出・編集(2026年9月15日再確認)。用途は「住宅」、種類は「宅地(土地と建物)」。取引年と建築年の差は46〜54年です。価格は有効数字2桁で公表されています。

本町の2件を見ると、土地は60㎡と125㎡、建物は70㎡と120㎡。取引時期も2023年と2025年で違います。「駅から8分の家が2,100万円だから、9分のうちの実家も同程度」とは読めませんし、同じ家が値上がりした記録でもありません。

また、この総額には土地と建物の両方が含まれます。総額を土地面積で割って土地だけの単価にしたり、この4件から小金井市全体の平均相場を出したりすると、比較を誤ります。

実家の広さや駅距離に近い記録を出発点にし、道路や形、修繕履歴の違いを書き添える。査定を受けるときは、その違いを価格にどう織り込んだのかまで聞くと、数字だけの比較から一歩進めます。

全国平均より、近い条件の取引事例を見る

相場を調べるなら、国土交通省の不動産情報ライブラリが一つの出発点になります。土地と建物の取引価格を、地域や時期を絞って確認できます。

最初から一件の価格に答えを求めず、次の条件が近い事例を並べて比較します。

  • 最寄り駅と駅からの距離
  • 土地面積と建物面積
  • 土地の形、間口、前面道路
  • 築年数と取引時期

土地面積だけを合わせても足りません。旗竿地と整形地、幅のある道路と細い道路では、同じ広さでも評価が変わります。小金井市内でも、駅への距離や高低差、接道条件が違えば、同じ町名でも比較対象にはしにくくなります。

ライブラリの「不動産取引価格情報」はアンケート、「成約価格情報」はREINS由来の情報です。両方を見る場合は同じ取引の重複に注意し、修繕履歴は実家の工事記録から、売却時の条件は査定の説明で補います。

価格を「土地・建物・売るための負担」に分ける

築50年の家は、価格を一つの数字だけで考えるのが難しい物件です。私は次の三つに分けて見ます。

  • 土地:面積、形、接道、高低差。近隣の単価をそのまま掛けず、使い勝手の違いを見る。
  • 建物:雨漏り、修繕履歴、間取り、設備。年数だけで0円とせず、残して使う選択肢を調べる。
  • 売るための負担:片付け、測量、解体の要否。売り方を決める前に先行発注しない。

とくに注意したいのは解体費です。土地として売る想定なら必要になる場合がありますが、建物を残して売るなら、売却のための解体費はかかりません。売り方を決める前に解体すると、中古戸建てとして検討する人を最初から外してしまいます。

古家を残すか更地にするかは、古家付き土地を売るときの考え方で詳しく整理しています。

築50年でも、建物の価値を一律に0円とは考えない

築年数が古いほど、建物価格が下がりやすいのは事実です。しかし、年数だけで価値がなくなるわけではありません。

国土交通省の既存住宅の評価に関する資料でも、戸建住宅を築年数だけで一律に減価させるのではなく、建物の使用価値を把握して評価へ反映する方向が示されています。

屋根や外壁を定期的に直してきた家と、長く空き家で雨漏りを放置した家は同じではありません。間取りが今の暮らし方に合うか、耐震性をどう見るか、買主が改修にいくら必要と考えるかでも評価は変わります。

ただし、修繕にかけた費用がそのまま売却価格へ上乗せされるわけでもありません。手入れの記録は「住める家として検討できるか」を判断する材料であり、支出額の回収を約束するものではないからです。

買う人が変わると、同じ家の見え方も変わる

私が担当した吉祥寺の家には、屋根に穴が開き、畳が抜けた箇所もありました。土地として売り出していたその家を、中古戸建てとして見せ直すと、問い合わせや見学が増えました。

そのとき比べたのは、周辺で売り出されている中古戸建てと、その価格帯です。「このエリアで家が欲しい人は、どのくらいの予算で探しているのか」。私が比較した範囲では、その価格帯に家の選択肢を出せたことが、多くの人に見てもらえた理由だと考えています。

ただ、問い合わせが増えれば終わりではありません。「こちらの負担がどんだけ増えても」、できるだけ多く見てもらい、その中から売主さんが売りたいと思える相手を探す。その姿勢で動きました。

家の傷みは残ります。把握していた状態やリスクを売主・買主の双方へ説明し、書類にも残して、理解を確認したうえで売買が成立し、引渡しまで終えました。場所がよかったとも感じています。

逆の経験もあります。別の案件では、40坪ほどある形のよい土地で、駅から近く、一般的な間取りを入れやすい物件を更地にしてから、反応が増えました。

だから私は、過去の取引価格だけでなく、いま買主が比較する家と価格帯も見ます。中古戸建てを探す人と、土地を買って建てたい人では、比較する相手が違います。建物を残すか壊すかは、その両方を比べてから決めたいところです。

戸建ての反響が止まる原因は、価格だけではありません。戸建ての売却が難しいときに見直すことも、売り方を決める前の材料になります。

査定額より先に、査定の前提を比べる

複数の査定額が出たとき、いちばん高い数字だけを見ると判断を誤りやすくなります。

確認したいのは、その価格になった理由です。

「近い成約事例はどれか」

「中古戸建て、古家付き土地、更地のどれを想定したのか」

「どのような買主を想定しているのか」

「建物を残した場合と解体した場合で、売り方はどう変わるのか」

この説明が具体的なら、金額が少し違っても比較できます。反対に、根拠の説明がなく高い金額だけが出ているなら、その数字で実際に売れるとは限りません。不動産の査定額が高すぎるときの見分け方も合わせて確認してください。

築50年の実家で、最初に決めるのは売出価格ではない

築50年の実家の相場は、全国平均だけでは読めません。

まず近い取引事例を探し、土地条件をそろえる。次に、建物がまだ使えるのか、どのような買主なら検討できるのかを分けて考える。そのうえで、片付け、測量、解体が本当に必要かを決めます。

先に高い工事をしても、買主が望む売り方と合わなければ戻せません。家を売る前にやってはいけないことを確認し、売却の全体像は実家売却の流れで整理してから進めると、順番を誤りにくくなります。

相場を知る目的は、一円単位の正解を当てることではありません。土地、建物、買主のどこに価値があり、何が売りにくさになるのかを分けて見ることです。

この記事の方針と書き手については、運営者情報をご覧ください。

タイトルとURLをコピーしました