実家じまいの費用はいくら?片付け・測量・解体・売却で先に払う順番

段ボールとアルバムを前に実家の今後を整理するイメージ 実家の売却
名義や手続きの前に、親御さんの意思と家族の役割を整理します(AI生成イメージ)

「実家じまいには、結局いくら必要なのか」。そう聞かれることはありますが、私は最初に総額を決めません。家の状態も売り方も分からない段階で合計額を出すと、まだ必要か分からない片付けや測量、解体まで先に進めてしまうからです。

先に整理したいのは、平均額ではなく何を、いつ判断し、いつ支払うのかです。実家じまいの費用は、次の4段階に分けると見通しが立ちます。

  • 今すぐ確認する:名義、権利関係、必要書類
  • 売り方を決めてから見積もる:片付け、測量、解体
  • 契約・決済に合わせて払う:仲介手数料、印紙税など
  • 売却後に確認する:譲渡所得に関する税金

この記事では、片付け費や解体費の平均額を並べません。現地条件で差が大きく、平均だけでは自分の実家の判断材料にならないためです。代わりに、先払いしてよい費用と、売り方が決まるまで待ったほうがよい費用を分けます。

まず確認する費用は、名義と権利関係に関するもの

片付け業者を探す前に、登記事項証明書や手元の権利証・登記識別情報、固定資産税の納税通知書などを並べます。確認したいのは、誰の名義か、相続登記が済んでいるか、共有者や借地権、抵当権など売却前に整理する権利があるかです。

相続登記が必要なら登録免許税がかかることがあります。法務局の案内では、相続による土地の所有権移転登記の登録免許税は原則として固定資産税評価額の0.4%です。一定の条件を満たす土地には2027年3月31日まで免税措置がありますが、すべての相続登記が免税になるわけではありません。司法書士へ依頼する場合の報酬も別です。

ここで必要なのは、いきなり登記費用を確定することではなく、売却の前提になる手続きが残っているかを把握することです。実家じまい全体の順番は、実家じまいは何から始めるかでも整理しています。

片付け・測量・解体は、売り方を決めてから見積もる

私が売却実務で先に止めることが多いのは、査定前の一括片付け、確定測量、先行解体です。どれも必要になる可能性はあります。ただ、必要かどうかは売り方と買主の希望で変わります。

片付けは、家を空にすることから始めない

家の中に荷物が残っていても、まず全部を捨てる必要はありません。家具や道具の中に買取対象が含まれることもありますし、売却条件によっては残置物の扱いを買主側と調整できる場合もあります。

小金井市の粗大ごみは予約制です。市の粗大ごみ案内では、申込み状況によって収集まで2週間以上かかる場合があり、多量のときは1日で収集できないこともあると案内しています。市は家の中からの運び出しをしません。処理券は200円券と500円券で、指定収集袋・処理券の案内では家庭用40リットル相当の袋は10枚800円です。

自分たちで分別するのか、運び出しだけ頼むのか、処分まで一括で頼むのかで見積額は変わります。発注前に作業範囲、支払日、追加料金が発生する条件を確認してください。荷物の進め方は、実家売却で荷物が残っているときの整理順へ続けています。

測量は「現況で足りるか」「確定が必要か」を分ける

土地や戸建てでは、境界の状況によって測量が必要になります。ただし、現況測量で足りるのか、隣接地所有者の立会いを伴う確定測量が必要なのかは案件ごとに違います。どの実家でも先に確定測量を発注する、という話ではありません。

費用を売却代金の決済時に精算できないか相談できる場合もありますが、すべての案件で利用できる仕組みではありません。土地家屋調査士や不動産会社へ、必要な測量の範囲、納期、支払日、追加作業の条件を確認してから発注します。

解体は、古いからという理由だけで先に決めない

古い建物でも、買主が建物を使いたいことがあります。解体して更地にしたほうが売りやすい物件もあれば、建物を残したほうが検討者を減らさずに済む物件もあります。解体費だけでなく、解体後の土地の見せ方や固定資産税への影響も含めて比較が必要です。

戻せない判断なので、売却方針が決まる前に壊さないことが基本です。古家付き土地を解体せず売るかどうかも合わせて確認してください。

契約・決済に合わせて支払う費用

売却条件が固まると、仲介手数料や契約書の印紙税など、金額と支払時期を確認しやすくなります。

仲介手数料は売却価格と契約内容で確認する

国土交通省の案内では、物件価格が税抜き1,000万円の場合、媒介報酬の上限例は税込39万6,000円です。これは上限の例であり、必ず同額を支払うという意味ではありません。

また、2024年7月1日以降、税抜き800万円以下の低廉な空家等には報酬の特例があり、依頼者一方当たりの上限は税込33万円です。800万円以下なら一律に33万円かかる、という制度でもありません。媒介契約を結ぶ前に、報酬額、支払時期、特例を使うかを確認します。

印紙税は紙か電子か、契約金額はいくらかで変わる

紙の不動産売買契約書には印紙税がかかります。国税庁の軽減措置によると、2027年3月31日までに作成される契約書の軽減税率は次のとおりです。

  • 500万円超1,000万円以下:5,000円
  • 1,000万円超5,000万円以下:1万円
  • 5,000万円超1億円以下:3万円

国土交通省の案内では、電子契約で交付される電子文書には印紙税が課税されません。契約方法を決める前に、紙と電子のどちらになるかを確認しておくと、用意する費用を間違えません。

売却後に確認するのは、譲渡所得に関する税金

売却代金がそのまま利益になるわけではありません。譲渡所得は、売却代金から取得費と譲渡費用などを差し引いて計算します。

国税庁の譲渡費用の案内では、売却のために支払った仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代などが例として挙げられています。ただし、実家じまいで支払った費用がすべて譲渡費用になるわけではありません。領収書や契約書、見積書を残し、どの費用を税務上差し引けるかは税務署または税理士へ確認してください。

相続した家は取得時の資料が見つからないこともあります。売却が終わってから探すより、名義や権利関係を確認する段階で、購入時の契約書や領収書も一緒に探すほうが後で慌てません。

実家じまいの費用は、この順番で整理する

費用を抑えるために大切なのは、安い業者を急いで探すことではありません。必要性がまだ決まっていない作業へ、先にお金を払わないことです。

  • 名義、権利関係、必要書類を確認する
  • 建物を残すか、土地として売るかなど売り方を比べる
  • 必要になった片付け、測量、解体だけ見積もる
  • 契約時と決済時に払う費用を一覧にする
  • 売却後の申告に備えて書類と領収書を残す

一度解体した建物は戻せませんし、捨てた荷物も取り戻せません。費用の総額より前に、判断の順番を決めてください。先に動くと戻しにくい内容は、家の売却でやってはいけないことにもまとめています。

費用・税制度は2026年8月3日に再確認しました。一定の土地に係る相続登記の免税措置と、紙の不動産売買契約書の印紙税軽減措置は、現時点では2027年3月31日までです。免税・軽減・譲渡費用への算入可否は個別条件で異なるため、登記は法務局または司法書士、税務は税務署または税理士へ確認してください。

よくある質問

実家じまいには、結局いくら用意すればよいですか?

全国一律の総額では決められません。まず名義や権利関係を確認し、売り方を決めてから、必要になった片付け、測量、解体を個別に見積もります。契約・決済時の費用と売却後の税金も、同じ時期に一括で払うわけではありません。

売却前に家の中を空にしなければなりませんか?

最初から全てを処分する必要はありません。買取対象になる荷物や、売却条件の中で扱いを調整できる物があるため、残す物、売る物、処分する物を分けてから見積もります。

戸建てを売るなら確定測量は必須ですか?

すべての戸建てで必須とは限りません。境界の状況、売却条件、買主側の確認内容によって、現況測量で足りるか、確定測量が必要かを判断します。

古い実家は先に解体したほうがよいですか?

古いという理由だけで先に解体しません。建物を使いたい買主がいる場合や、建物を残したまま売却条件を組める場合があります。更地にする利点と不利を比べてから決めます。

測量費や片付け費を売却代金から払えますか?

決済時の精算を相談できる場合はありますが、すべての費用や案件で利用できるとは限りません。発注前に、依頼先と不動産会社へ支払日、精算方法、追加料金の条件を確認してください。

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