床下点検口を開けると、基礎の中にかなりの水がたまっていました。
契約後、引渡しの約2週間前に行った新築物件の立会いです。お客様と売主会社の担当者も一緒でした。珍しく雪が降っていたので、最初は「雪が入ったのか」と思いました。でも、雪は下には入ってこない。
後日、売主から原因を聞きました。案内後に私がブレーカーを落としたことで、給湯器が破裂したとのことでした。水道の元栓は開いたままで、水抜きもしていませんでした。
売主が修理を手配し、費用も負担してくれました。お客様にも私にも費用負担はありませんでした。ただ、原因をあとで知り、申し訳なくなりました。新人のころの失敗です。
それ以来、私は冬の販売中物件で、確認せずブレーカーを落としません。最近は、ブレーカーのそばに売主から「落とさないで」と注意書きがある物件も見ます。
この経験があるので、空き家の電気は「誰も住んでいないから止める」とは考えません。かといって、いつまでも残す話でもありません。給湯器など通電を必要とする設備と、次に家へ入る日を確認し、設備を止める準備ができてから電気の停止日を決めます。
結論:空き家の電気は、設備を止める準備ができるまで残す
私なら、次の順番で決めます。
- 分電盤の注意書きと、電気で動く設備を見る
- 給湯器のメーカー、型式、取扱説明書を確認する
- 内覧、清掃、立会いなど、最後に電気を使う日を決める
- 電気を切るなら、取扱説明書に沿った水抜きなどを先に済ませる
- その後、現在契約している小売電気事業者へ停止日を申し込む
判断の目安は次のとおりです。
| 家の状態 | 私ならどうするか |
|---|---|
| 冬で、給湯器に水が残り、水抜き方法も分からない | いったん電気を残す |
| 内覧、清掃、設備確認、引渡し前の立会いが残っている | 最後に使う日まで残す |
| 通電が必要な設備がなく、機種に合った停止処置も終わり、家へ入る予定もない | 電気の停止日を決める |
ここで分けて考えたいのが、「電気契約を止めること」と「室内のブレーカーを落とすこと」です。契約停止は小売電気事業者への手続きです。一方、ブレーカーを落とせば、その場で給湯器などが無通電になります。契約を残していても、ブレーカーを落とせば凍結予防機能が動かない機種があります。
冬の給湯器は、通電を残すか、水抜きをして止める
給湯器メーカーは、通電中の凍結予防と、長期不在時の水抜きを分けて案内しています。
ノーリツは、外気温が下がると凍結予防の安全装置が自動で作動するため、給湯機器の電源プラグを抜かないよう案内しています。一方、長期間使わない場合は機器内の配管の水が凍結して破損することがあるとして、水抜きを案内しています。
リンナイも、停電中はガス給湯器の凍結予防機能が作動しないため、凍るおそれがある場合は取扱説明書に従って水抜きするよう案内しています。
つまり、電気を残すなら、対象機種の説明書どおりに凍結予防機能が使える状態にする。電気を止めるなら、先に対象機種に合った水抜きなどを行う。このどちらかです。
元栓をどうするか、水抜き栓がどこにあるか、浴槽の水を残す必要があるかは機種で違います。家にある給湯器の型式を見ず、インターネットで見つけた別機種の手順をそのまま使うのは避けます。取扱説明書が見つからなければ、メーカーか施工会社へ型式を伝えて聞くほうが確実です。
あのときは、売買契約後でも引渡し前だった
私が床下の水を見つけたのは、売買契約が終わった後です。それでも引渡しまでは約2週間あり、建物の立会いが残っていました。
空き家や販売中の家でも、売買契約を結んだ日にすべてが終わるわけではありません。内覧後の確認、清掃、建物の立会い、残置物の搬出、引渡し前の設備確認で電気を使うことがあります。
だから私は、売買契約日だけを見て電気を止めません。次に誰が、いつ家へ入り、何を使うのかを確認します。売主や施工会社からブレーカーについて指示があれば、それを優先します。最後の立会いが終わり、設備を止める処置も済んだところで、引渡しの日程と電気の停止日をそろえます。
電気を残したほうがよいのは、家でまだ何かをする間
誰も住んでいなくても、次の予定が残っているなら電気を使う可能性があります。
- 夕方や雨天の内覧で照明を使う
- 清掃や片付けでコンセントを使う
- エアコン、電動シャッター、給湯器などの設備を確認する
- 防犯、見守り、ポンプなど、通電を前提とする機器が動いている
- 引渡し前の立会いが残っている
すべての空き家にこれらの設備があるわけではありません。見るべきなのは、一般的な設備一覧より、その家の分電盤と室内外の機器です。電気を止めて困るものが一つでも残るなら、その処置が決まるまで停止日は保留にします。
台風や停電で意図せず電気が止まった後は、今回のように自分で契約を止める場合とは確認順が違います。停電後の建物や電気設備の確認は、別の記事にまとめています。
電気を止める前に残すメモ
停止手続きをする前に、紙でもスマートフォンでもよいので、次の6項目を一枚に残します。
| 項目 | 書いておくこと |
|---|---|
| 電気の契約先 | 検針票や契約画面にある小売電気事業者名、お客様番号 |
| 最後の現地予定 | 内覧、清掃、立会い、引渡しの日付 |
| 通電設備 | 給湯器、エアコン、防犯・見守り機器、ポンプなど、実際にあるもの |
| 給湯器 | メーカー、型式、水抜き方法、施工会社または問い合わせ先 |
| 水道・ガス | 電気とは別に、元栓や契約をどうするか |
| 停止記録 | 電気を止める日、申し込んだ日、受付番号 |
電気の使用停止は、現在契約している小売電気事業者へ申し込みます。契約先が分からなければ、検針票、請求メール、クレジットカードの明細、家に残っている契約書類から探します。
東京電力エナジーパートナーの場合は、停止日当日中は電気を使え、夜0時に止まると案内しています。ただし、受付期限や停止時刻は契約先によって違います。東京電力パワーグリッドも、使用停止は契約中の小売電気事業者へ連絡するよう案内しています。
電気を止めることと、家を無保険にすることも別の判断です。所有権が残る間の火災保険をいつまで続けるかは、電気の停止日とは分けて現在の保険会社へ確認します。
私なら「電気代がもったいない」の前に給湯器を見る
使っていない家の電気代を止めたいという考え自体は自然です。ただ、あの床下の水を見ているので、私は金額だけでは決めません。
まずブレーカーの注意書きを見る。次に給湯器の型式と水抜き方法を見る。そのあと、最後に家へ入る日を決める。ここまで終われば、電気を残す理由があるのか、もう止めてよいのかが分かります。
何も確認せずブレーカーを落とし、あとから水がたまっているのを見ることは、もう避けたい。空き家の電気は、空いた日ではなく、設備を止める準備が終わった日に止める。それが、新人のころの失敗から変わった私の判断です。
小金井市内の空き家で、電気以外に管理、片付け、売却をどう進めるかは、全体の記事から確認できます。
よくある質問
空き家の電気契約とブレーカーは同じ日に止めますか?
同じとは限りません。契約停止は小売電気事業者への手続きで、ブレーカーは建物内の設備を無通電にします。先に設備の停止処置と最後の現地利用日を決め、その後に契約の停止日を合わせます。
冬でも空き家の電気を止められますか?
止められないと一律にはいえません。給湯器など通電を必要とする設備を特定し、対象機種の取扱説明書に沿った水抜きなどを終え、ほかに通電が必要な設備や現地予定がなければ、契約先と停止日を決めます。
売却中は引渡しまで必ず電気を残しますか?
必ずではありません。内覧、清掃、立会い、設備確認で使うか、売主・施工会社から指示があるかで決めます。売買契約日だけで止めず、引渡しまでの作業を一度並べるのが先です。
電気を止めれば水道も止まりますか?
電気と水道は別の契約です。また、給湯器の水抜きは水道契約の停止や元栓操作だけと同じではありません。対象機種の取扱説明書で必要な処置を確認します。

