媒介契約は途中で解除できる?不動産会社を変える前の確認順

媒介契約書と家の鍵、二つの書類フォルダーを並べたイメージ 未分類

媒介契約は、期間の途中でも終えられる場合があります。ただし、「電話一本でいつでも無料」「途中なら必ず違約金」のどちらも一律の答えではありません。

私は不動産売買の仲介実務で、会社を変えたいという気持ちが強いときほど、先に次の会社へ頼まない方がよいと考えています。まず手元の契約書を開き、契約の種類と期限、解除条項、これまでの販売活動、費用の順に見ます。いまの契約が終わったことを書面で確認してから、次へ進みます。

最初に見る5点は、契約・販売・費用・終了日・引継ぎ

途中解除を考えたら、次の5点を一枚のメモにまとめます。

  • 一般媒介・専任媒介・専属専任媒介のどれか。契約期限はいつか
  • 解除、費用償還、違約金、特別依頼費用の条項はどう書かれているか
  • 広告、業務報告、問い合わせ、内覧、申込みは実際にどう動いたか
  • 満了を待つのか、合意して終えるのか、契約条項に基づく解除を考えるのか
  • 終了日、広告停止、資料や鍵の返却をどう確認するか

この順番なら、「売れないから会社を変える」という感情と、契約上の問題を分けて考えられます。

契約の種類と満了日で、選択肢は変わる

国土交通省の標準媒介契約約款は、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介で条項が異なります。自分の契約書が標準約款に基づくものか、独自の特約があるかも確認します。

国土交通省「標準媒介契約約款」

満了が近く、そこまで待てるなら、更新しない方法があります。期間中に終えたい場合は、現会社と合意して終了条件を決めるのか、契約上の解除条項を検討するのかを分けます。

状況別の確認
状況:最初に確認すること
満了日が近い:更新方法と、更新しない意思の伝え方
双方で終了に合意できそう:終了日、費用、広告停止、返却物を書面に残せるか
義務の不履行などを理由にしたい:該当条項、催告の要否、事実を示す記録

3か月という期間と更新の考え方は、別記事で詳しく整理しています。

専任媒介契約の期間と更新を扱った記事

「反響が少ない」と「契約上の問題」を混ぜない

問い合わせがない、内覧が少ない。それだけで直ちに不動産会社の違反とはいえません。価格、写真、広告の露出、競合物件、物件固有の条件など、反響が止まる理由は複数あります。

仲介実務では、不満が大きいときほど二つに分けます。一つは販売上の問題。もう一つは、業務報告や説明など契約上の対応です。

  • 販売上の問題:広告は見られているか、問い合わせ後に止まっているか、内覧後の反応は何か
  • 契約上の確認:契約で約束した報告や説明が、いつ、どの内容で行われたか

反響は「露出→閲覧→問い合わせ→内覧→申込み」のどこで止まったかを見ると、会社を変える前に直すべき点が見えます。

戸建て売却の反響を露出から申込みまで5段階に分けた説明図
戸建て売却の反響を露出から申込みまで5段階に分けた説明図

反響が止まった段階が違えば、最初に見直すものも変わります。この図は特定物件の実測データではありません。

戸建て売却で反響が止まった場所を確認する記事

解除費用は4つの名前を分けて読む

費用の話では、仲介手数料、違約金、費用償還、特別依頼費用を一つにしないことが大切です。

国土交通省の令和8年4月1日施行版では、指定流通機構への登録、通常の広告、物件調査などは宅地建物取引業者の負担とされています。一方、売主が特別に依頼した広告や遠隔地への出張は、事前に費用の見積りを説明すべきとされています。

国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」令和8年4月1日施行版

また、契約の履行に要した費用を請求するときは、明細書を作り、領収書などで金額を示す考え方が記載されています。標準約款には、契約期間中に不動産会社の責任ではない理由で解除された場合の費用償還条項もあります。

請求を受けたら、名称、根拠条項、通常業務か特別依頼か、事前説明、明細・領収書の5点を照合します。個別の請求が有効か、いくら払うべきかは、実際の契約と経緯によります。この記事だけで結論は出しません。

解除理由は、日付と記録で伝える

「動いてくれない」「説明が違う」だけでは、双方の認識がずれます。解除を相談する前に、日付が分かる資料を集めます。

  • 媒介契約を結んだ日と満了日
  • 業務報告を受けた日、報告内容
  • 広告を確認した日と掲載内容
  • 問い合わせ、内覧、購入申込みの報告
  • 改善を求めた日と会社の回答

標準約款には、契約上の義務が約束どおり履行されない場合の催告後の解除や、信義に反する行為、不実の説明、不正または著しく不当な行為に関する条項があります。ただし、どの条項に当たるかは個別判断です。報告が少ないという印象だけで、違法・契約違反と決めつけるのは避けます。

現会社との終了を確定してから、次の会社へ進む

次の不動産会社を探す前に、現会社へ次の5点を確認します。

  • 媒介契約は何月何日で終了するか
  • 終了は満了、合意終了、契約条項に基づく解除のどれか
  • 費用がある場合、名称・根拠条項・明細は何か
  • 広告はいつ停止されるか
  • 鍵、図面、登記資料、写真データなどの返却物は何か

口頭で話がまとまっても、終了日と条件は後から見返せる形に残します。専任・専属専任の契約が続いたまま、別会社と次の媒介契約を結ぶのは避けるべきです。

現契約が終わった後は、同じ問題を繰り返さないために、査定額の高さだけでなく、広告、報告、初月の反響目安、見直し条件まで聞きます。

不動産会社と担当者を比べる9項目

販売を再開する位置は、査定・媒介契約・販売・売買契約の順に戻して確認できます。

実家売却の流れ

費用や解除理由で争いがあるなら、契約書を持って相談する

会社の説明と契約書が合わない、請求根拠が分からない、解除条項の解釈で争いがある。この場合は、別会社の営業担当だけに判断を求めず、契約書、約款、特約、業務報告、請求明細をそろえて相談します。

東京都「不動産取引の相談窓口」

個別の権利義務や法的手続まで必要なら、弁護士などの法律専門家へ確認してください。

よくある質問

媒介契約は電話だけで解除できますか?

電話で相談を始めても、終了日と条件は書面やメールなど、後から確認できる形に残す方が安全です。通知方法の指定があるかは、手元の契約書を確認してください。

反響が少なければ、費用なしで解除できますか?

反響が少ないことだけで、費用の有無は決まりません。契約類型、解除理由、費用償還・違約金・特別依頼費用の条項、実際の販売活動を照合します。

解除を伝える前に、次の会社へ査定を頼んでもよいですか?

相場や販売案を聞くことと、新しい媒介契約を結ぶことは分けてください。少なくとも現契約の終了日と条件を確定しないまま、次の媒介契約へ進むのは避けます。

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