古いマンションは売却できる?築年数だけで決めない5つの確認

古いマンションでも売却はできます。ただし、「築40年だから売れない」「内装を全部直せば売れる」と、築年数だけで結論を出すのは早いです。

私は東京都で10年以上、不動産売買仲介に携わり、中古マンションの取引も扱ってきました。築年数を見ただけで売り方を決めることはありません。建物の耐震関係資料と管理状態、同じマンションの競合、室内、売主の期限を順に見ます。全面リフォームや買取を考えるのは、その後です。

東日本不動産流通機構の2024年集計では、首都圏の中古マンション成約物件のうち、築20年を超える物件が53%でした。古い住戸も実際に成約市場へ含まれています。一方、この首都圏全体の数字から、小金井市の築40年・50年の住戸が売れる価格や期間までは分かりません。

先に見るもの売主が集める情報ここで決めないこと
耐震建築確認時期、耐震診断、改修履歴完成年だけで安全性を断定しない
管理規約、議事録、長期修繕計画、工事履歴認定の有無だけで良否を決めない
競合同一棟の販売中住戸と過去成約築年数と広さだけで価格を決めない
室内不具合、汚れ、買主の好み全面リフォームを先に発注しない
期限希望時期、月額負担、引渡条件仲介か買取かを先に固定しない

1.完成年より先に、建築確認時期と耐震資料を見る

「1981年築だから旧耐震」「1982年築だから新耐震」と、完成年だけで線を引かない方が安全です。

国土交通省のマンション管理状況チェックシートでは、新耐震基準について、1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物かどうかを確認するよう示しています。完成までには時間がかかるため、登記事項の完成年と建築確認の時期は同じ情報ではありません。

売主側でそろえたいのは次の三点です。

  • 建築確認を受けた時期が分かる資料
  • 耐震診断記録の有無と内容
  • 耐震改修を行っている場合は、その時期と工事内容

ここで売主が耐震性能を自己判定する必要はありません。記録があるのか、何が分からないのかを整理し、必要なら建築士などへ確認できる状態にします。1981年以前だから必ず耐震性が不足する、以降だから個別の建物が安全だ、という意味でもありません。

2.室内より先に、建物全体の管理状態を読む

古いマンションでは、きれいな室内写真だけでは買主の不安に答えきれません。共用部分でどの工事を行い、今後どの工事を予定し、その費用をどう準備しているかも判断材料になるからです。

まずは、実家マンションを売却する前の確認順で扱っている次の資料を集めます。

  • 管理規約と使用細則
  • 直近の総会議事録
  • 長期修繕計画
  • 修繕積立金に関する資料
  • 大規模修繕など共用部分の工事履歴

長期修繕計画は、今後予定する工事の内容、時期、概算費用を置き、修繕積立金額の根拠を整理する資料です。計画があるかだけで終わらせず、議事録や工事履歴と並べて、「計画どおり進んでいるか」「増額や借入れの議案が出ていないか」を読みます。

小金井市には、既存マンションを対象にしたマンション管理計画認定制度があります。申請するのは管理組合の管理者等で、一住戸の売主が単独で取る認定ではありません。認定の有無は材料の一つですが、認定がないだけで管理不良や売却不能とは決められません。実際の規約、議事録、計画、工事履歴を見ます。

3.近隣相場より、同じマンションの競合を先に比べる

マンションの査定で私が重く見るのは、同じ建物に販売中の住戸があるかです。過去に都内のマンションを扱った際も、同じ建物内に同程度の広さの競合住戸がありました。対象住戸は階数だけなら不利でしたが、室内状態も含め、買主が実際に比べる選択肢から販売条件を考えました。

これは小金井市の実家マンションの事例ではなく、同じ結果を保証する話でもありません。ただ、築年数と広さだけで同じ価格にはならない、という実務上の例です。

比較表は、販売中と成約済みを分けて作ります。

比較項目販売中住戸で見ること過去成約で見ること
価格現在の希望条件実際に合意した価格
住戸条件階数、向き、広さ、間取り対象住戸との差
室内改装済みか、現況か、空室か成約時に分かる範囲
月額負担管理費、修繕積立金、使用料当時と現在の差
販売状況掲載期間、価格変更成約までの経過が分かる範囲

同一棟の事例が少なければ、近隣で駅距離、築年数、広さが近い物件へ広げます。ただし、完全に同じ物件はありません。高すぎる査定額を見分ける記事で整理したように、査定額そのものより「どの成約と競合を使い、対象住戸との差をどう調整したか」を聞く方が判断しやすくなります。

4.専有部は、不具合・汚れ・好みの三つに分ける

築年数が古いと、水回り、床、壁紙、建具など気になる場所が増えます。ここで全部を「古い内装」と一括りにすると、工事の範囲が膨らみます。

私は次の三つへ分けます。

  • 漏水や設備故障など、把握している不具合
  • 清掃や小さな補修で見え方が変わる汚れ・傷み
  • 色や間取りなど、買主の好みで評価が分かれる部分

不具合は内容と履歴を記録し、販売条件へどう反映するか決めます。清掃で済む部分は範囲を絞る。買主の好みが分かれる内装まで先に全面工事すると、工事費を販売価格で回収できるか比較しにくくなります。

全面リフォームを否定しているわけではありません。現況での査定・想定期間と、工事後の査定・工期・販売期間を同じ条件で比べ、回収可能性が見える場合に検討します。工事を急がない理由は、家の売却でやってはいけないことでも確認できます。

5.売却期限を置き、現況仲介・手入れ・買取を同じ表で比べる

古いマンションの売り方は、物件状態だけでなく、売主がいつまで待てるかで変わります。空室でも管理費、修繕積立金、固定資産税、保険、室内確認の手間は続きます。月額を全国平均で置かず、対象住戸で実際に払っている金額を使います。

選択肢価格以外に確認すること向きやすい状況
現況で仲介想定買主、販売期間、告知事項、引渡条件工事を先行せず市場反応を見たい
最小限の手入れ後に仲介清掃・修理費、工期、査定差、販売期間の差直す範囲と効果を説明できる
買取価格、引渡日、残置物、契約条件期限や条件の確実性を優先したい

仲介は、不動産会社が売主と買主の間に入り、調査、募集、条件調整、契約、決済・引渡しを支える方法です。買取は、不動産会社などが買主になります。どちらが常に上という関係ではなく、価格、時期、残置物、契約条件が変わります。

私なら、最初から一つへ決めません。まず現況仲介の条件を確認し、必要最小限の手入れを加えた案、その後に買取条件を並べます。査定から媒介契約、販売、売買契約、決済までの位置関係は、実家売却の流れへ分けています。

古いマンションの売却前に作る一枚

資料を集めたら、次の項目を一枚へまとめます。空欄があっても構いません。分からない項目を可視化できれば、管理会社、仲介担当、建築士など、誰に何を聞くかが決まります。

  • 建築確認時期、耐震診断、改修履歴
  • 管理規約、議事録、長期修繕計画、共用部分の工事履歴
  • 同一棟の販売中住戸と過去成約
  • 専有部の不具合、清掃範囲、工事候補
  • 希望する売却時期と、保有を続けた場合の実額
  • 現況仲介、手入れ後の仲介、買取の価格・時期・条件

築年数は消せません。しかし、買主が判断する材料をそろえ、売主側の期限と一緒に比べることはできます。「古いから売れない」と先に結論を出すのではなく、どこが弱く、どこなら説明できるのかを一つずつ明らかにする方が、売り方を狭めません。

よくある質問

築40年・築50年のマンションは売却できませんか?

築年数だけでは決まりません。建築確認時期と耐震資料、管理状態、同一棟の競合、専有部、売主の期限を見て、現況仲介・手入れ・買取の条件を比べます。REINSの首都圏集計でも築20年超の成約はありますが、個別住戸の成約を保証する数字ではありません。

完成年が1981年なら旧耐震ですか?

完成年だけで断定しません。確認点は、1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物かどうかです。建築確認の時期、耐震診断記録、耐震改修履歴を資料で見ます。

管理計画認定を受けていないと売れませんか?

認定がないことだけで売却不能とは判断できません。認定は管理状態を見る材料の一つです。管理規約、総会議事録、長期修繕計画、修繕積立金、工事履歴を個別に確認します。

古いマンションは買取の方がよいですか?

期限と条件によります。価格だけでなく、引渡日、残置物、契約条件、工事負担を現況仲介と並べます。早さや条件の確実性を優先するなら買取が候補になりますが、古いことだけを理由に決めません。

この記事の根拠

東京都で10年以上、不動産売買仲介に携わり、中古マンションを扱った経験から、築年数だけで売り方を決めない確認順を整理しました。自分の親のマンションを売却した当事者経験ではありません。

統計と制度は、東日本不動産流通機構、国土交通省、小金井市に加え、東京都の東京既存住宅ガイドブックを2026年8月11日に確認しています。個別マンションの耐震性、管理状態、価格、契約条件は物件ごとに異なります。

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